限定承認を徹底解説!メリット・デメリット、手続き、費用、司法書士への依頼について

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はじめに
相続について調べているうちに『どうやら限定承認という手続きがあることはわかった。だけど、難しくてよく分からない。』という方は多いのではないでしょうか。
司法書士 阿部
このページをご覧いただき、ありがとうございます。シャイン司法書士法人の代表司法書士 阿部です。
限定承認は手続きが複雑で、内容もすんなり理解しづらいところがあります。しかしこの限定承認、相続の手続きとして非常に優れた点があり、いま、限定承認を選ばれる方が増えています。
増加の理由はシンプルで、「限定承認はメリットが多い」からです。
しかし、相続(単純承認)や相続放棄に比べると、限定承認の知名度はまだまだ低いです。
あなた様が今から、あるいはこれから間もなく相続に関わるとして。この限定承認という方法で相続問題をどのように解決できるのか。そもそも限定承認とはどういうもので、どんなメリット・デメリットがあるのか?など
このページをご覧いただければ、限定承認についての納得と理解が得られるよう、記事作成に努めました。ぜひご覧ください。
ページの作成と監修について
このWEBサイトのコンセプトである、“「相続」について日本一わかりやすい解説を目指し、ご相談者さまの納得と、最善の解決策提案に全力を尽くす。”を軸に、限定承認について代表司法書士 阿部が記事作成を担当します。
それから、私の主観だけで限定承認を解説するのではなく、弊社の他の司法書士(西川、杉本の2名)、行政書士の佐々木を加え、さまざまな有資格者の観点から限定承認を分析し、最終的にこのページを読まれた方が、相続において最善の解決策が分かるようになることを目的に編集しました。
※このページの最下部に記事の作成者・監修者情報を掲載しております。また、本WEBサイトのスタッフ紹介ページでも、弊社社員のプロフィール紹介をご覧になれます。
このページを読むと分かる、3つのこと
このページを読めば、以下3つについて分かります。
- 限定承認とはどんな手続きか
- 限定承認の基礎知識やメリット・デメリット
- 限定承認と相続放棄、どちらがあなたにとって最善か
近年 弊社へのご相談・ご依頼件数が増える一方の限定承認(げんていしょうにん)。
ご相談者さまから『限定承認と相続放棄の違いは?』や、『限定承認のメリット・デメリットは?』といった質問が多く寄せられ、限定承認に対する注目度は日々高まっていると感じます。
しかし、手続きの複雑さや、限定承認に求められる専門性・難易度の高さから限定承認をしっかりと進められる司法書士事務所が少ないなど。
限定承認は、まだまだ“広く受け入れられている相続方法” とはいえません。
しかし知名度こそ低い限定承認ですが、条件さえ整っていれば、メリットを多く得られる相続方法だと私は思います。
ここから限定承認の重要なポイントを解説していきます。
限定承認を「一言」で説明すると?
限定承認を一言で表すなら、『相続(単純承認)と相続放棄の、両方の良いところを取った相続方法』だと思います。
しかし、やはりこの一言を以って限定承認の説明とするのは粗すぎますから、もう少し皆さまの立場に立って、ていねいに解説します。
“相続と相続放棄の良いとこ取り” の意味とは?
限定承認の一番の特徴は、「相続した財産を限度に、その財産以上の借金を負わない」点にあります。簡単に例を用いて説明します。
司法書士 阿部
(例)故人の財産が500万円とします。故人は生前お金遣いが荒く、また友人知人から借金していた過去もあり。それを思うと、相続後に予期せぬ多額の借金が出てきたら困ると思い、限定承認(という相続方法で相続)したとします。
その後、案の定、知人からの借金が判明し、その額ナント800万円…
この場合 限定承認であれば、相続した財産の500万円を限度に借金の返済義務を負い、財産を超えた借金の300万円分については返済しなくて良い、ことになります。
平易な言葉を用いると、プラスマイナスゼロということです。
もしこの時、“相続” していたら…
もちろん、故人の資産はプラスの財産だけで、借金がなにも出てこなければそのまま500万円の遺産を相続して終わりです。
そして万が一、後になって思いもしなかった借金が出てきても、限定承認であれば財産を超える借金300万円分の返済は必要がありません。
このメリット・特徴を指して、限定承認を“相続と相続放棄の良いとこ取り” と表しました。
突然 自分の身に起きた遺産相続に戸惑い、長年 疎遠だった故人が生前どのように暮らしていたかなんて知る由もありません。その中で故人が、「誰かの保証人になっていた…」とか、「友人から多額の借金をしていた…」など。後になって借金が判明し、その返済義務まで相続させられるなんて絶対に嫌ですよね。
通常この場合、『相続放棄しかない』と考えがちですが、ここで限定承認という手続きが選択肢として挙がるのです。
司法書士 阿部
万が一、後から思わぬ借金が出てきても困らないように、
- 何もかもすべてを相続するのではなく、限定承認(で相続)をする
- 万が一 借金が判明しても、相続した財産を限度に弁済するようにする(それ以上の債務は免除)
- 予期できない危険回避(リスクヘッジ)のために限定承認を選ぶ
という方が多いです。
『よく分からないし、とりあえず相続放棄で良いかな?』と決めつける前に。限定承認で解決できる可能性があるか、一度 私たち司法書士にご相談されてはいかがでしょうか。
限定承認はどんな時・人に最適?
前の章で限定承認をできる限り分かりやすく解説をしましたが、この章では具体的に「どんな時に?どんな人に?限定承認は最適か。」について解説します。
大きくは3つあります。
その1:資産が多いのか・借金が多いのか分からないとき
これは前の章で説明したケースと同様ですが、長年 疎遠で、どのように暮らしてきたのか分からない故人からの相続。突然 多額の借金が出てきて、返済を迫られても困りますよね。
こういうリスクに思い当たる時は、限定承認を検討して良いと思います。
もし、「明らかに借金の方が多い」という場合は相続放棄に切り替え解決に動きますので、まずは私たち シャイン司法書士事務所に、どのような解決策が最善かご相談ください。
その2:遺産に不動産(家・土地・山など)があるとき
遺産に家などの不動産が含まれているときは限定承認の検討をおすすめします。
当社 シャイン司法書士事務所にご相談に来られる方の中にも、以下のような理由で「相続放棄で良いだろう。」と決めつけてしまっている方が非常に多いです。
- 兄弟みな、それぞれの場所で家族を持って暮らしているので誰も実家はいらない…
→だから相続放棄で良いだろう。 - 田舎の実家は何年も空き家状態。どうせ売れても二束三文…
→だから相続放棄で良いだろう。 - いらない家や土地のために、毎年の固定資産税を払うのは嫌だ…
→だから相続放棄で良いだろう。
しかしこういう時こそ、相続放棄よりメリットが得られやすい限定承認も選択肢に加えて検討し、専門の司法書士を交えて、相続放棄と限定承認、いずれが最善策かを考えても良いのではないでしょうか。
既に説明したとおり、限定承認なら後から万が一 借金が後から判明しても、相続した財産以上に返済義務は負いません。借金が出てこなければ、とうぜんそのままプラスで相続を終えられます。
実は…自動車や山林の相続は、行政書士の専門
行政書士 佐々木
こんにちは、シャイン司法書士法人・行政書士事務所の行政書士 佐々木です。事例数は多くありませんが、自動車や山林の相続は、実は行政書士の専門領域です。
・父が生前大切にしていたヴィンテージカーは将来的に価値が出そうなので相続したい。
・先祖代々の山を自分の代で放棄するのは忍びない。 など
このようなケースでも、シャイン司法書士事務所には行政書士(私、佐々木)もいますから、安心してご相談ください。
その3:相続放棄すると、他の親族に迷惑がかかるとき
例えば上のイラストのように、夫に先立たれた妻とその子どもが相続放棄をした場合。
もし、その夫の母(義母)がご存命だとしたら、亡き夫の相続は次は義理のお母様(亡き夫の実の母)へいきます。専門的な表現で言えば、“相続権が次順位にわたる”事態が起きます。
親族間が良好な関係であれば、相続に関わる全員で足並みそろえて相続放棄をすれば良いのですが、そうもいかない事態もあります。
例えば、
- 親族が極度の不仲、コミュニケーションが取れない(取りたくない)
- 親が寝たきり、昏睡状態、認知症を患っている など
それから上記の他に、特に注意が必要なケースは遺産に不動産が含まれている場合です。
たとえ相続放棄をしても、家などの不動産についての財産管理義務が相続人の誰かに残ります。言い換えれば、相続放棄をしても財産管理義務は放棄できない、ということになります。
「自分や子どもさえ相続放棄すれば、すべて良し。」というわけにもいかず、相続放棄はこのような問題を孕んでいることにも注意を払う必要があります。
司法書士 阿部
限定承認と相続放棄の違い
ご相談者さまからよくいただく質問に、『限定承認と相続放棄の違いはなんですか?』というものがあります。
両者はまったく異なる手続きですが、どちらがどう違うのか。その違いは、ご相談者様にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか。下に図解します。
上の表をそれぞれ見比べると、
- 明らかに借金が財産を上回る
- 家族全員の意見を一つにまとめるのは困難
※行方不明者がいる、限定承認に断固反対する者がいるなど - 財産に家などの不動産が含まれていない
このような状況下では、相続放棄が最善の解決方法である可能性が高いです。
言い換えればそれ以外の場合は、限定承認を検討する価値はじゅうぶんあるということです。
うまくいけば相続をプラスで終えられる。万が一後から知らない借金が出てきても、相続した財産以上の返済義務は負わないので、その時はプラスマイナス・ゼロで終えられる。
このメリットこそが、限定承認を前向きに検討する方が増えている一番の理由だと思います。
限定承認のメリット・デメリット
相続方法として優れている限定承認。その特徴やメリットについて解説してきましたが、ここで改めてメリットだけではなく、デメリットも含めて限定承認を解説します。
弊社 シャイン司法書士法人でも、限定承認の解決実績が多い、司法書士 西川に解説をお願いします。西川先生、よろしくお願いします。
司法書士 阿部
司法書士 西川
よろしくお願いします。
シャイン司法書士法人の司法書士 西川です。限定承認は、条件さえ整えば、ご依頼者様にとってメリットの多い相続方法です。最悪の事態になってもプラスマイナス・ゼロで相続を終えられるのですから。
ここでは限定承認の良いところ・悪いところもしっかり説明して、ご自身にとって最善の解決策になりえるかがわかるよう、しっかりと解説していきます。
限定承認のメリットについて
メリットについてはこのページで既に多く触れましたが、簡単に以下にまとめます。
限定承認のメリット
- 限定承認なら、うまく行けばプラスで相続を終えられる
- 限定承認なら、最悪の事態でもプラスマイナス・ゼロで相続を終えられる
- 限定承認なら、相続放棄のように他の親族に迷惑をかけることがない
- 限定承認なら、相続放棄のように不動産などの財産管理責任が残ることがない
以上が、限定承認のメリットです。
それでは限定承認のデメリットはどのようなものでしょうか。
限定承認のデメリットについて
私は限定承認には大きなデメリットはないと考えています。
このページで限定承認を“相続と相続放棄の、両方の良いところを取った相続方法” と表現されていますがまったくそのとおりで、限定承認ができる条件さえ整っていればメリットが多い相続方法です。
しかし、デメリットというよりは、“注意点や懸念点” はあります。まずは注意点です。
限定承認の注意点
- 限定承認が完了するまで、絶対に財産を処分してはならない
売却のみならず、捨てたり無料で譲渡したりすることも含みます。この場合は“相続をした”とみなされ、限定承認はできません。 - 原則 3ヶ月以内に申立てする必要がある
3ヶ月間という期間は相続放棄においても同じ期限が定められています。 - みなし譲渡所得が課税されるケースがある(しかし滅多にないケース)
仮に、故人が当時1,000万円で購入した家が値上がりして、相続時に時価3,000万円になっていたとしたら。差額の2,000万円がみなし譲渡所得対象として課税され、準確定申告や納付をしなければなりません。
続いて、懸念点です。
限定承認の懸念点
- 相続に関わる全員が限定承認に同意しなければならない
ただし、限定承認に反対していた者が単独で相続放棄をした場合、その者を除いた残り全員が限定承認に同意すれば行えます。 - 限定承認の手続きは複雑…解決に当たる司法書士に高い専門性が求められる
「司法書士なら誰が解決しても同じ」ではありません。限定承認は複雑な手続きだからこそ、限定承認の解決数が多い、限定承認に強い司法書士事務所をお選びください。
家族の中に、連絡先も分からない行方不明状態の者がいたり、誰か一人でも限定承認に反対したりすると、限定承認は難航します(できなくなる場合も)。
後者の場合、実はこれが限定承認の意外な落とし穴ですが、限定承認は手続きの複雑さや年間発生件数の少なさ等から、『依頼した司法書士事務所に、限定承認の解決・取り扱い実績がなかった。』ということがままあります。
司法書士 西川
限定承認は、解決に当たる司法書士に高い専門性が求められます。依頼した司法書士に限定承認の解決実績が無い・少ない場合、最善の解決結果は得られにくいのではないかと懸念します。限定承認に強い、シャイン司法書士事務所にご依頼ください。
限定承認に強い司法書士にご依頼を
限定承認のメリット・デメリットを解説してきましたが、一番重要なことは、限定承認を解決する司法書士が限定承認に強いことです。
ここでいう「強さ」とは、限定承認の解決数の多さや実績の豊富さを指しています。
また、シャイン司法書士事務所は司法書士4名・行政書士2名・AFP1名と、さまざまな有資格者がご相談者さまそれぞれのご状況に応じて最善の結果を導き出せるよう組織づくりに努めておりますが、このような体制が整っていることなども指しています。
2007年〜現在に至るまで、シャイン司法書士事務所の限定承認の解決実績は26件を超えます。
こと相続放棄に至っては、2,000件を超す解決実績があります(これは相談数ではなく解決数です)。
限定承認にせよ相続放棄にせよ、ご相談者さまに最善の解決結果をご提供するために事務所一丸となって解決に当たります。
限定承認は、ぜひシャイン司法書士事務所にご相談ください。
司法書士?弁護士?限定承認は誰に依頼すればいい?
私 阿部の見解は、司法書士でも弁護士でも、ご相談者さまに対する考え方や解決報酬に差はあるものの、両者に大きな差はないと思います。ただし、限定承認をしっかりと解決できる事務所であること、という重要な条件が付きます。これについて、弊社司法書士 杉本の意見も交えて解説します。杉本先生、よろしくお願いします。
司法書士 阿部
司法書士 杉本
よろしくお願いします。司法書士の杉本です。早速ですが、私が考える、限定承認の専門家選びにおいて非常に重要なポイントを2つをご紹介します。
- 限定承認の「解決実績」が数多くあること
何よりまず解決実績の多さです。いくら「ご相談者さまのために頑張ります!」と謳っていても、解決実績や知識・経験に不足があれば、限定承認は高い専門性が求められる手続きですから、結果的にご依頼者様へ最善の結果を提供することは難しいのではないかと思います。 - 相続に関わる「全員にとっての最善策」を提案できること
シャイン司法書士事務所ではこの点を特に意識しています。ご相談者さまお一人だけでなく、そのご家族・ご関係者も含め、後に争いの火種を残さないように。故人も含め、相続に関わる方全員が「これで良かった。最善の結果を得られた。」と納得し、喜んでいただける結果を出す。この姿勢を大切にして、相続全般に取り組んでいます。
司法書士 杉本
次の章で、冷や汗をかくような、実際にあったエピソードを紹介します。シャイン司法書士事務所で対応させていただいたご相談で、「相続できる財産があるにも関わらず、司法書士から相続放棄を勧められた」エピソードです。これをご覧になれば、「なぜ解決実績が重要なのか」がお分かりいただけると思います。
【実話】限定承認できるのに、相続放棄を勧められた事例
【実話】
田代さん(プライバシー保護のため仮名)は、相続のご相談に、インターネットで探した司法書士事務所へ行きました。田代さんはいろいろと状況などを説明され、その司法書士からは「相続放棄が良い。」と言われたそうです。
その回答に疑問を持たなかった田代さんですが、「他の司法書士事務所の見解も知りたい」と、セカンドオピニオン的にシャイン司法書士事務所にもご来所されました。
弊社 司法書士の西川が対応させていただき、「相続放棄ではなく、限定承認で解決できます。」と、両者の違いやメリット・デメリットなどをしっかりと田代さんにお伝えしました。
後日、田代さんはもう一度最初の事務所に行き、限定承認のお話をその司法書士にお伝えされたそうです。
しかし、やはりこの時も「本件の場合、相続放棄しかできない。」と言われたそうです。
そのお話を田代さんから後日聞かされた時、私たちは愕然としました。
(相続放棄しかできないって一体どういうこと?限定承認で解決できるのに?)
もう一度、弊社 西川から田代さんへ限定承認について「故人さまが遺してくれた大切な財産ですから、放棄せずに限定承認されてはいかがでしょうか?」とお話しさせていただきました。
田代さんもご納得くださり、最終的に限定承認で受任させていただきました。
後に借金が出てくるようなこともなく、最終的に約780万円の財産を相続して終えられました。
「もしこのケース、相続放棄をしていたら?」
故人が残してくれた約780万円の資産を、分かっていながら捨てるようなものです。
限定承認で解決し、しっかりと遺産を相続できたことに、田代さんは大変喜んでくださいました。
しかし、この田代さんのようなケース。
実は巷にたくさん溢れているのではないか…と、身の引き締まる思いがしました。
知らないことが原因で、何百万円・時にそれ以上のお金や財産を捨てることになるのですから。
シャイン司法書士事務所について
シャイン司法書士法人・行政書士事務所は2007年の前身の事務所設立以来、相続(単純承認)、相続放棄、限定承認、遺言書作成や遺言執行、民事信託(家族信託)、成年後見、空き家問題など、数多くの相続全般に関するご依頼を解決してまいりました。
司法書士4名、行政書士2名、ファイナンシャルプランナー(AFP)1名を数え、ご相談者さまのご依頼に幅広く対応できる体制作りにも努めてまいりました。
このWEBサイトのコンセプトでも宣言したように、“「相続」について日本一わかりやすい解説を目指し、ご相談者さまの納得と、最善の解決結果のご提供に全力を尽くす。”を信条に。
これからもご相談者さまの立場に立って、最善の解決結果とはなにかを模索し続け、使命に基づき問題解決に全力を尽くします。
相続のことなら、シャイン司法書士事務所にご相談ください。力になります。
WEB面談、土・日・夜間の相談
全国対応、出張相談も可
現在の社会情勢を鑑み、シャイン司法書士事務所へのご来所が難しいご相談者さまへインターネット面談(Zoomや他 弊社利用オンライン会議ツールなど)もお受けしております。操作方法が分からない・自信がないという方もご安心ください。弊社スタッフがお手伝いをさせていただきます。
また、予約制で土日祝・夜間の相談対応、全国対応・出張相談も行っております。お仕事でお忙しい方や、体調面に不安がある方などにご利用いただいております。(すべてのご状況に対応できるわけではありませんので、ご了承ください)
限定承認の流れや手続き
この章は専門的且つ、私たち司法書士が手続きなどをお任せいただく事務的な内容も多いので、読み飛ばしていただいても問題ありません。
司法書士 阿部
限定承認の流れ・手続きについて説明します。
- 故人の財産や債務の調査
家や預金、車や株などの財産から、銀行の借入やカードローンなどの借金まで。故人の資産状況を調査します。 - 希望される場合、熟慮期間の延長
相続の手続きは、相続を知った時点から3ヶ月以内(熟慮期間という)に進めなければなりません。それ以上の時間が必要になる場合は、家庭裁判所に延長の申立を行います。 - 相続に関わるすべての方に連絡
限定承認の第1の難関とも言える“連絡”です。家族・親族不仲、行方不明状態の者がいるなど。難航することが目に見えている場合もご相談ください。 - 財産目録の作成
財産目録とは、現預金や不動産、株など、故人の資産や借金の評価額など、遺産内容をまとめて記載したものです。 - 限定承認の申述書作成・申述
限定承認に関わる者全員で申述する必要があります。もし仮に兄弟の内一人が相続放棄した場合、その者を省いた全員で申述します。申述に必要な書類は、どの場合においても必要な書類と、相続される方の状況によって変わるものとに分かれています。 - 限定承認申述受理と、相続財産管理人の選任
申述の受理が行われたら、同時に、選定された相続財産管理人と限定承認に関わるすべての者は、財産の清算手続きに入ります。 - 限定承認公告
期間内(限定承認をする方の場合は5日以内に、相続財産管理人の場合は選任後から10日以内)に限定承認をしたことと、加えて債権者に対して請求申出の公告(官報による限定承認公告)を行います。 - 鑑定人選任の申立て
相続財産の中に家などの不動産や、どうしても手放したくないものが含まれている時は、先買権(さきがいけん、優先権ともいう)を行使できます。先買権の行使には、家庭裁判所へ鑑定人選任の申立てを行う必要があります。 - 請求申出をした債権者、そして受遺者へと順に弁済
財産をすべてお金に変えたら(換価処分)、例えば故人にお金を貸していた方など(相続債権者)が返済を求めてきたら(請求申出)弁済をします。弁済をしてなお財産が残っている場合で且つ、請求申出をした受遺者がいる場合はその方にも弁済します。弁済の順序は、相続債権者→受遺者です。 - 残余財産の処理
すべての弁済を終えてなお財産が残った場合、限定承認をされる方全員で財産分与(遺産分割)します。これ以降借金が出てこなければ財産を相続して、限定承認の手続きは終わります。
ご覧いただいたとおり、限定承認の手続きは相続放棄などに比べると複雑・煩雑です。それを表すようなデータもあり、裁判所WEBサイト 司法統計によれば、令和元年(平成31年)の相続放棄の受理件数は225,415件に対し、限定承認はわずか657件※です。
限定承認の件数が極端に少ない理由は、限定承認ができる条件が整わなかったこと・手続きが複雑なこともあると思いますが、加えて、限定承認をしっかり解決できる司法書士事務所が非常に少ないことも関係していると私は思います。
※出典 裁判所WEBサイト 司法統計
第4-2 家事審判新受事件の事件別件数(令和元年)【家庭裁判所】より
限定承認まとめ
- 限定承認を一言で表すと、『相続(単純承認)と相続放棄の、両方の良いところを取った相続方法』
- 後から思わぬ借金が出てきても、相続した財産を限度に、その財産以上の借金を負わない
- 故人の資産が多いのか・借金が多いの分からないときには限定承認を検討する
- 明らかに借金が多い場合は『相続放棄』、借金額が不明な場合は『限定承認』
- 遺産に不動産があり、相続放棄を検討している場合、限定承認が最適なケースがある
- 限定承認なら他の親族に迷惑がかかることがない
- 大きなデメリットはないが、注意点や懸念点がある
- 限定承認が完了するまで、絶対に財産を処分してはならない
- 原則 3ヶ月以内に申立てする必要がある
- 相続に関わる全員が限定承認に同意しなければならない
- ただし、限定承認に反対していた者が相続放棄をした場合、残った相続人の同意があれば行える
- 限定承認は手続きが複雑なので、限定承認に強い司法書士に依頼する必要がある
- 依頼時は司法書士でも弁護士でも大きな差はないが、限定承認をしっかり解決できる事務所であることが大切
- 事務所選びのポイントは、限定承認の『解決実績』が数多くあること、相続に関わる『全員にとっての最善策』を提案できること
- 限定承認できるのに、依頼する専門家によって相続放棄を勧められるケースがある
- 依頼する司法書士に“限定承認の解決実績があるか”は非常に重要
イラストでわかる!限定承認まとめ
この記事の作成に関わった弊社社員

阿部 弘次
代表 司法書士・行政書士
大阪司法書士会会員 第3146号
簡裁訴訟代理関係業務認定 第512274号
日本行政書士連合会 登録番号 第11261452号
大阪府行政書士会 会員番号 第6150号

杉本 渉
司法書士
大阪司法書士会会員 第3849号
簡裁訴訟代理関係業務認定 第1012054号

西川 徹
司法書士
京都司法書士会会員 第1236号
簡裁訴訟代理関係業務認定 第912084号
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員

佐々木 宏之
行政書士
日本行政書士連合会 登録番号 第11262270号
大阪府行政書士会 会員番号 第6219号